紅い海
管理人の書いたオリジ小説の世界。
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ウミ

Author:ウミ
管理人 ウミの書いたオリジ小説を公開しています。
ジャンルは様々、管理人が興味を持ったネタで小説は構成されます。
管理人、腐っているので、恋愛、及び、同性愛も書きます。
苦手な方は読まないことをお勧めします。

只今 連載中は『ボクラの物語』と『兄貴、貸し出し中!』
兄妹モノ多しです。それしか書けないとも言う。

『ボクラの〜』はシスコンとブラコンの歪んだ愛のお話(になる予定)『兄貴〜』は兄貴と妹の何でもない(?)日常をツラツラと書いていく予定です。
よろしければ覗いてやってください。
コメント、感想などあると喜びます。

お友達随時募集中!お気軽にお声をおかけ下さい^^

*完結しているお話の紹介*

・命の詩 拒食症
・危ない関係(ラブストーリーです)
・死の仕事【過去編】
・死の仕事【出会い】
・死の仕事【家族】
・血塗られたキャンバス 黒の私
・死の仕事【人喰い編】



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11 平気


『リョウッ!!』
森本はいつものベンチで待っていた。
腰の辺りまで消えかけた体で森本の隣に座る。
『リョウ…今まで言えてなかったけど…ありがとう…』
また一方的に話す。
森本には聞こえているのか、いないのか…。
『リョウがいなかったら私…もっと早くに死んでたよ…。
 結果的にリョウを置いていくことになったけど…私、死んだこともう後悔してないから。
 リョウが待っててくれて嬉しかったよ…。』
森本の頬にキスをして、微笑む。
『リョウ、ホントにありがとう。大好き。』

消える直前、森本が叫んだ。
「薫!!俺もお前のこと好きだから!誰よりも好きだから!!」

死ぬのは怖い。
忘れられるのも…怖い…。

でも、私は平気。
リョウがいてくれる。
家族がいてくれる。
私のことを嫌っていた子達だって、私は嫌いじゃなかったし。

何も言わずに死んで、ごめんね?




薫が自殺してからすぐに、森本の従姉妹が生まれた。
名前は薫だった。
微笑む森本の顔がすごく優しかったのを、幼い薫は知っていた。

10 まだ行く場所がある


そして、自殺実行。
痛みも無くあっさり死ねたみたい。

薫は自分の部屋のベッドにうつ伏せる。
もうこのまま成仏したかった。
この場所に留まっていたくなかった。

しばらくゴロゴロしていて気が付いた。
まだ行く場所がある。
『何やってんの…?私…。早く行かなきゃ…。』
起き上がり、走り出す。
無いはずの足が縺れて、転んだ。
『何っ!?』
見ると、足は半分消えかけていて。
『イヤだ…まだ成仏なんてしたくない…まだリョウに言ってないことが…』
薫は転ぶのも構わず、走り出した。

まだ、行く場所がある。

まだ、やらなきゃいけないことがある。

楽になんて死ねなくていい。

未練だらけだ。

神様お願い。

もう少しでいいから。

この世界に留まらせて。

『リョウッ!待ってて…お願いっ!!』
薫は精一杯走った。
体は無いはずなのに、人にぶつかり、息も荒く。
『リョウッ…リョウ…』
躓きながら駆け込んだ公園。
ベンチにリョウはいた。

9 全てを捨てて逃げたかった


そもそも、何で自殺なんて馬鹿なことを考えたんだろう。

学校は、勉強をする場所でもなければ、友達を作る場所でもなかった。
苦しくて、苦しくて、息も出来ない。
毎日、壮絶ないじめと闘う。
クラスに味方はいなかった。
教科書はいたずらだらけ。
下駄箱はゴミだらけ。
上履きが無くなるのはいつものことだし、お弁当は落とされるから、購買のパンに変えた。
本気でイヤになって、死のうとした時に、森本が声を掛けてきた。
「いつも無視とかしてて、ホントにごめん…勇気が無くて…とかただの言い訳だけど、やっぱこれじゃダメだと思って…。」
そう言ってはにかんだ笑顔が忘れられなくて、もう少し生きてみようと思った。
学校では一言も喋らないのに、放課後は毎日公園のベンチに並んで座って、くだらない話ばかりをした。
それで幸せだったのに…。
クラスの奴等に放課後会ってることがバレた。
森本に迷惑掛けたくなくて、いじめられるのは、自分一人でいいから…。

そして、塞ぎ込むようになった。
両親にも、一緒に住んでるおばあちゃんにも、兄弟にすら話せなかった。
引き篭もり。
最初は生きる為に始めたリストカット。
段々、深く強く引くようになっていて、止められなくなった。
食事もままならなくて、学校に行きたくなかった。
それでも、周りに言えないし、森本が心配だから学校に行った。

森本は「気にしなくていい」そう言ってくれた。
そうして、毎日会ってくれた。
私はそれが嬉しかった。

だけど、同時に苦しかった。

森本に無理をさせているという意識が強かった。

全てを捨てて逃げ出したいと思ってしまった。

8 覚えてた涙


薫はそろそろと玄関の扉を開ける。
『ただいまー…。』
どうせ聞こえてはいない。
もう、言う必要は無いのかもしれない。
だけど、ここは私の家だから。

家の中の空気は冷たかった。
すごく、ひんやりしていた。
家族が死ぬってこういうことなんだ…と、自分のことなのに、人事のように納得していた。
リビングには、誰もいなかった。
ダイニングにも、誰もいなかった。
和室を覗くと、おばあちゃんがいた。
私の写真に手を合わせてくれている。
背中を丸くして、目には涙を溜めて。
私の目にも、少しだけ涙が滲んだ。
二階の部屋に上がると、聞こえてくる両親の話し声。
目に溜まった涙が一筋流れ落ちた。
消えてしまったと思っていた涙。

心は、体は覚えていた。

家族の優しさに触れた気がした。

7 痛みは何処にあるのだろう


『リョウ。私、そろそろ帰るね。家族が心配するから…。』
森本に一方的にそう告げて、薫は家に帰った。

足は無いのに、足取りは重かった。
『悲しい』や『寂しい』は、今日一日ずっとあった。
だけど…。

『痛み』は何処にあるんだろう…。

飛び降りた時の記憶も無ければ、死んだという実感も無い。
幽霊としてこの世界に留まっていていいのだろうか。
成仏の仕方もわからない。
ここにいていいのかもわからない。
『痛み』が何処に消えたのかもわからなかった。

わからないことばかりだった。

考えながら家に帰る。
玄関を開けるのも億劫だった。
家族の顔も今は見たくないと思った。

それでも、逃げない、逃げたくない、そう思った。

6 見下ろした自分の足跡


森本の胸の鼓動が心地良い。
幽霊になっても、心音って伝わってくるんだ。
『リョウ…ホントにごめん…何も言わずに、死ぬべきじゃなかったね…』
薫は森本の頬に口付ける。
「薫…俺と一緒にいて…ずっと…ずっと…」
森本も、見えない薫を抱きしめてキスをした。
「薫…俺、そろそろ帰るけど…薫も一緒に来る?」
『うん…リョウについていく。』
二人は寄り添って公園を跡にした。

薫は一度だけ、自分の歩いた道を振り返った。
自分の足跡を見下ろす。
そこにあるはずで、無い足跡。
見ていると悲しくなった。
生きている証が、何も無い。

初めて、命を手放したことを後悔した。

5 風が冷たい


森本は、いつもの公園に行った。
ここは私と森本の秘密の場所。
いつものベンチに森本は腰掛けた。
私も、いつものように森本の隣に座る。
重たい沈黙。
でも、きっとそれを感じてるのは私だけ。
「…山岸…何で死んだんだよ…ぅくっ…言えっていつも言ったじゃねぇか…」
森本は泣きながら話し掛ける。
『うん…。ごめん…森本…』
聞こえないのは解ってる。
森本が独り言のつもりだってこともわかってる。
だけど、返事をしなきゃいけない気がした。
「山岸…俺も、そっち行っていい…?」
森本は空を見上げながら言った。
『森本…ダメだよ…森本が、そっちで生きてくれなきゃ、私はどうすればいいの…?』
私も空を見上げた。
高く、高く、澄んだ空だった。
「山岸がいなきゃ…俺は生きてる意味が無いよ…。」
俯いてしまった君が、すごく小さく思えて。
優しく、そっと頭を撫でた。

風が吹き向ける。

夏なのに、風が冷たかった。

「やま…ぎし…?」
森本は俯いたまま言った。
『なに?森本。』
私は頭を撫でながら言った。
「…山岸…いるの…?ここにいるの…?」
驚きで、手が止まった。
『解るの…?森本……』
冷たく優しい風が吹いた。
「…薫…?」
『…リョウ…』
私は微笑んだ。
森本も、微笑んだ。
「いるんだな…薫…」
私は森本を抱きしめた。


昨日 妹に言われて気が付いたけど、幽霊って一体どこまで可能なんだろう…。
何ていっても想像…いえ、妄想の産物なんで、食い違う部分もきっと出てくると思います。
そこら辺は、また食い違ってるなーと軽くスルーしてやってください。